TBC気象台日誌

宮城県に初の大雨特別警報 なぜ、記録的な大雨に?

気象庁は9月11日午前3時20分、宮城県に大雨特別警報を発表しました。2013年8月に特別警報の運用が始まってから、宮城県に特別警報が発表されたのはこれが初めてです。
 大雨特別警報の発表基準には、3時間雨量と48時間雨量、それに土壌雨量指数の3つがありますが、今回は48時間雨量と土壌雨量指数が該当しました。宮城県内は10日夜遅くから11日明け方にかけて、発達した積乱雲が停滞したために非常に激しい雨が降り、48時間雨量は多い所で50年に一度というレベルの300ミリから400ミリに到達。東部仙台、東部仙南、西部を中心に、「これまでに経験したことのないような大雨」となりました。

※主な地点の総降水量(9月6日午前0時~11日12時)
  丸森町筆甫 573.0ミリ
  仙台市泉ケ岳 433.0ミリ
  丸森 377.5ミリ
  仙台 350.5ミリ
  大衡 339.5ミリ

※極値更新状況(観測史上1位の記録を更新した観測地点及び値)
 ○最大1時間降水量
  栗原市駒ノ湯 72.0ミリ(11日午前0時51分)
  仙台市泉ケ岳 65.0ミリ(10日午後11時14分)
  大衡 62.0ミリ(11日午前1時27分)
  栗原市鴬沢 51.5ミリ(11日午前1時33分)

○最大3時間降水量
  大衡 155.0ミリ(11日午前2時50分)
  仙台市泉ケ岳 128.5ミリ(10日午後11時40分)
  栗原市鴬沢 119.0ミリ(11日午前3時00分)
  大崎市古川 104.5ミリ(11日午前2時50分)

○最大24時間降水量
  仙台市泉ケ岳 293.0ミリ(11日午前5時10分)
  加美 238.0ミリ(11日午前7時20分)
  栗原市鴬沢 194.5ミリ(11日午前8時50分)
  蔵王 180.5ミリ(11日午前6時00分)

○最大48時間降水量
  丸森町筆甫 426.5ミリ(11日午前2時10分)
  仙台市泉ケ岳 346.5ミリ(11日午前7時30分)

○最大72時間降水量
  丸森町筆甫 483.5ミリ(11日午前7時00分)
  仙台市泉ケ岳 365.0ミリ(11日午前9時10分)

○日最大降水量
  仙台市泉ケ岳 265.5ミリ(9月10日)
  加美 205.0ミリ(9月10日)
  栗原市鴬沢 137.0ミリ(9月11日)

なぜ、これだけの大雨になったのか?そのキーワードは「線状降水帯」です。
 当時の気圧配置を見てみると、日本海には台風18号から変わった温帯低気圧、日本の東海上には台風17号、そして、オホーツク海には高気圧がありました。日本海の低気圧に向かう南からの暖かく湿った空気、それに台風17号とオホーツク海高気圧から吹き込んだ湿った東よりの空気とが宮城県でぶつかり合い、行き場をなくした両者は上昇気流となって積乱雲が発達。線状に延びる降水帯=「線状降水帯」となり、同じような場所にかかり続けたというメカニズムです。

2015年9月11日大雨特別警報

 南米・ペルー沖の海面水温が高くなる「エルニーニョ現象」の発生に伴い、今年は台風シーズンが長引くおそれがあります。台風が宮城県を直撃しなくても、今回のような大雨につながることがあるため、今後も台風の動向には十分注意してください。

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